総合芸術教育
2021年度 作品展
魚拓(0・1歳児)
乳児にとって臭覚・味覚は命綱であるが、それ以前に皮膚感覚からの情報は多く、脳にも刺激が伝達されている。
赤ちゃん達は肌で判断している。
安全か危険か、好きか嫌いか、委ねるか委ねないか。
ストローアート(2歳児)
プラスチックストローと環境問題が世に問われ、乳幼児の必須アイテムが悪者のごとく扱われている事への提案である。
この作品は、意志によって消す(大人が作り、大人が使用を止めようと決めていくプラスチックストロー)
“物“と子どもの“愛着“には必ずズレがあり、そのズレを埋める行為だ。
ストローのかけら達は子どもの意志によって選ばれ、通され、着地し、つながっていく。
着地音のカチッというささやかな音を楽しむのがポイント
カラフルな木の様になったので並べて写真撮影をしようとしたが、驚いた事にこの段階でこども達は作品に“自分の作品“という愛情が生まれており、その場から離れようとしなかった。
毎日、好きなように形を変えられるオブジェ。
全く同じ物は生まれませんでした。
シャボン玉画(3・4歳児)
哺乳類はまず、母乳を吸うことから始まる。力強く生きるために吸う。
しかし、吹くという行動はもっと後にしか登場しない。シャボン玉を吹いて楽しめるようになるのは実は大変な成長なのだ。
消えて無くなる泡だが、痕跡を残すことに挑んだ共同制作。
三角ちゃん(4歳児)
人類の赤ん坊は・点から描画し始める。
身体の発達と共に点から線のストロークが始まり、ついに○丸(スタート地点にゴールする運動)を描きだす。
○は子ども達に語りかけるため、触発された子どもが後から名前を付けるのである。
そこから△三角形を描画するまでに数多くの子どもたちの葛藤が隠れており、“斜めの線“を目的を失わずに2度方向転換し三角を形成するのは、大変に知的な行為で空間認知能力の育ちを待たなければならない。
子どもにとっては2人の友達の家を順に訪問し、家に戻ってくるのと同じくらいの感覚だ。
しかし、自転車乗りと同様、ある瞬間目覚めてしまえば一生忘れることはない。
この授業は三角形の描き方を型、テクニックとして教えることがねらいではなく、
今後描きたいものを描ける自由の鍵をわたすことにある。
文字を書く以前の世界を大人は忘れてはいないだろうか?
三角形の前に文字指導をする事は全く無茶難題というしかない。
3人の友達間を1、2、3で三角移動してみる。
A3の紙でウオーミングアップ。
点→縦線→横線→丸→斜線→三角。
スタート地点を左手で押さえておき、必ず1、2、3で戻る三角ちゃん。
何度もエチュードしていた。
四角の紙から三角ちゃんを生み出す。二つ折りにして切る。
切り取った三角ちゃんをまた二つ折りにして切る。△から△が生まれる不思議。
四角の封筒が三角錐になる不思議。
なが~い筆(3・5歳児)
ほうきを持つと、振り回して叱られるなら、ほうきで絵を描こうじゃないか!と実践した造形。
当園自作の柄の長い筆は、最も振り回しやすい長さに整えられている。
全員の子ども達の味方だ。