2022年度 作品展

ビリビリアート(0・1歳児)

2022年度 作品展

ハイハイからつかまり立ち、歩行へとたった1年間でヒトは劇的に成長する。
眼の機能もぼんやりからハッキリした視野になっていく過程であるから、彼らが何をどの様に見ているのかは謎に包まれている。
ただ身体の成長と共にハイハイ前は天井、ハイハイ中は床、歩行後は自分の目の高さが最も興味を持って見たり触ったりしているようだ。
彼らにはどんなに微小な穴や突起物、光、糸屑でもみつけ出し丹念に検証する静かな時間がある。
家庭では食べてしまうんじゃないかとか怪我しそう、俗に困った悪戯だと阻止してしまうこともあると思う。
危険でなければ大人の方が赤ちゃんのペース、興味の世界に入って行ってほしい。
テイッシュを出し続けたり壁紙を破ったり、イチゴを全部手で潰したとしても、それが赤ちゃんたちの勉強だからです。
プレゼントを開けるときワクワクする気持ち。
でっぱりやはがれを見つけるとつまんでその下の様子を見たくなる。
破って取り除く快感の体験。
道具を使う前の切断方法。

2022年度 作品展

「ベリーベリーアート」

イチゴをつぶしてつぶして潰しまくり、ガーゼを染めてみた。

2022年度 作品展

「光のアート」

2022年度 作品展
先生とゼラチンで作ったサンキャッチャー / 懐中電灯での実験

とんがりさん(2歳児)

とんがりさん

自我の芽生えの時期の2歳児は、本人もどうしようもないとんがりを抱え戦っている時期とも言え、
しばしば彼らの鋭利な拒否反応に大人は困惑する。
すべては“自分でしたい““自分が決めたい“からである。
家事で大人が使う道具を堪能してもらったり、等身大の対象物に思いきりペイントしながらそのエネルギーを放出して頂いた。
2歳児の挑む姿は素晴らしく、何度もハッとさせられた。
この度の「とんがりさん」はお遊戯会(ウクライナの民話「手袋」)の大道具に針葉樹として登場した。

「ドットの星」

単純なモノクロの丸いシールである。
紙も同じものが提供されるのにこんなにも子どもたちの個性が光る。
見事に一人一人違うのが、当たり前だが不思議に思う。
銀河の星のようだ。

とんがりさん

「スピンアート」

野菜の水切りをするスピルナーは、回すうちに加速していく感じが面白く、子どもがやりたい人気の家事だ。
遠心力で混色する。

とんがりさん
とんがりさん

日頃、ケチャップ、マヨネーズ、ソース、自分でかけたい気持ちでいっぱい。素敵なソースの混ざり合いにうっとりする。

「アイスクリーム」

麺棒と紙粘土を提供し、のす練習。
人類最古の道具が木の棒だからだ。
手の平の下で転がさないと、のすことはできない。
最初は握りしめて離さない。

とんがりさん

のした粘土を詰める時、
カップの形状が変わるほどパチパチに詰める職人が登場。
根性がすごい!

とんがりさん

色の世界

小さな研究者達は黙々と挑んでいる。
身体の成長、言語の獲得と比例して、道具のグリップスタイルも変化していく。
おそらく大人がこの光景をご覧になることがあるとすれば、あまりの静けさに驚かれることであろう。
2歳児の造形表現は獲得した言語と同等もしくはボリュームが高いので、ある意味言語よりストレス無く表現できているからだと思われる。

とんがりさん
とんがりさん
とんがりさん

スキージーアート(3歳児)

スキージーアート

パレットや筆は、洗面台の色水の流れを子ども達に見せながら洗うようにしている。
水栽培のヒヤシンスを部屋に置くだけで大人も子どもも見つめる時間が自然と生まれ楽しみになる。
毎日の暮らしの中に美しさが在り、見つけてくれますようにと願いながら活動しました。
植物と水、暮らしの道具が年間テーマ。

1.「スポイド博士」

水の変容を知るために、水滴の表面張力の美しさを、2種類のスポイドで作る授業です。

スキージーアート
 
スキージーアート
水を吸い上げる時に必ずこの表情になる博士
スキージーアート
 
スキージーアート
ブロックの凸面に水滴作りを挑む博士

2.「スポイド博士.No.2」

ビリビリアート
コースターに展開する博士達

3.「スキージーアート」

スポイドの次はよく生活の中で使われるプラスチックボトルを使い、絵の具を落としていく。
ボトルの蓋を様々なタイプにしてあるのは、世の中にはいろんなボトルが存在しいろんな開け方があるからである。
自分でやってみないと何事も習得はしない。
色を選び丁寧にゆっくり一滴、一滴落としていく静かな時間。

ビリビリアート
滴の上に重ねるバージョン
スキージーアート
全体に散らすバージョン
スキージーアート
横に並べていくバージョン

「さあ!いくよ!」
先生と一緒に一気にスキージーを上から下へサーッとかけていく。
息を呑む瞬きする間もない時間。
この造形は前半と後半のスピード感に差をつけ、意図的から委ねるに移行する快感を味わうものである。
本来、水滴を取り去る道具だが水滴をプレスし残すことに使用してみた。

ビリビリアート
滴の上に重ねるバージョン

からだ(4〜5歳児)

からだ

年間テーマは「野生とヒト」
自分の身体をよく知る、観る、描く、包む、使うなどの体験から自分がヒトである事を確認してみた。
また、昨年泥だんごを作らない(作れない)こども達が沢山いることを知り、畑の土、砂場の活動を増やした。
コロナ禍3年の月日が影響しているのかご家庭では、外遊びより動画をよく観ているという。
肉体があるから楽しいのだと思う。
私達は生き物でからだがあるという事はとても素敵な縛りだ。
大人もヒトであることを忘れそうになった時は、ぜひ泥だんご、お試しあれ!

4~5歳の男児になると性的な身体の部分や、うんこなどに興味津々で口にして大人を困らせ叱られている。
そこの所を思い切り授業にできないかと活動した。

<1日目>

5歳児の身体を4歳児がなぞり描いていく。
なぞられる方はくすぐったいのを我慢しながら、
なぞる方は「へ〜1周できるぞ」と思いながら描く。

からだ
4歳児は別室で自分の影を形に起こす

5歳児は着彩し柔らかい身体にしていく。

からだ
まずチョンチョンと点描し、
ざっと一緒にまとめて着彩するのが彼女のルール
からだ
自分の身体が案外大きくて着彩だけで大仕事。刷毛を所望される。
<2日目>

身体の真ん中のおへそから描き進める。
大人も堂々と「ちんちんですね〜、おっぱいですね〜」と言い出すのでエッ⁉︎という感じの中どんどん自分の身体にしていく。

からだ
<3日目>

「プールに入るときはどうする?裸んぼでもいいけどね」と問うてみた。
皆一様に「いやいやいやいや水着を着せたい!」ということで水着やゴーグルをコラージュしている。
性教育の一場面でもある授業。

からだ

「シンデレラの靴」

この物語は、ユーラシア大陸に古くから(最初の記録は9世紀)広く伝承されている。
民話として語られながら神話としての特徴を失っていない稀有な例である。
しかも神話としてのその古さは、旧石器時代にまで遡るであろうと考えられるとてつもない深さをそなえている。
子ども達には身体の中でも“足”にフォーカスを当ててみた。

<1日目>

自分の足を観察しデッサンする。人体には対のものが多くある。

からだ
<2日目>

シンデレラの絵本を先生と一緒に見ながら「なんでお母さんとお姉さんたちは意地悪なのかな?」などと疑問を持つ。

からだ

自分の靴を2mのアルミフォイルだけで足を包み込みながら作る。
ほぼ一発勝負で作らないと、いじっているうちに丸めたい衝動が抑えきれずチギレもまとめて石ころのようにしてしまう。
どうなるのか知りたいものね。
困った顔をして「こんなになっちゃった」と持ってきた子に、
どうしたいのか訊くともう一度作り直したいとの事。
アルミフォイルぐらいいくらでも差し上げる精神なのだが「やったー!」などと大喜びして
次は絶対靴を作ってやると真剣そのものだった。

<3日目>

それぞれの自宅で家族と一緒に、もう片方の靴を作り完成させた。
たまには子どもに先生として教わるのも悪くない。

からだ

「他の生き物たち」

からだ
秋刀魚の食前食後
からだ
ペンギン水族館にいるぞ
からだ
キリンの赤ちゃんが生まれたよ